5月頃、壁の隙間や玄関、浴室などで小さな虫や羽のついた虫を見つけて疑問に思ったことはありませんか?多くの場合それはシロアリです。羽アリをシロアリだと認識しないケースが多く、またシロアリ繁殖の早さに気づかず家の柱がボロボロになるなどシロアリ被害が深刻化しています。シロアリの被害を解説します。

家の中のシロアリ被害

家の中は床を中心にシロアリ被害が発生します。床下からシロアリが上がって床の基礎や柱を侵食していきます。水回りを中心にシロアリ被害を確認しましょう。

お風呂場・洗面所のシロアリ被害

シロアリといえばここというくらい、お風呂場と洗面所はシロアリ被害が多い場所です。シロアリを見かける場所もお風呂場や洗面所が多いです。ユニットバスの浴室はシロアリ被害が出にくい構造になっていますが、タイル張りの浴室は、目地などから水が染み出しやすく、温度変化に激しいためかべや床下に結露しやすい環境です。浴室の床下からシロアリが侵入しやすく、水や湿度があるためシロアリの巣になるケースが非常に多い場所です。常に換気扇を回して換気しておくことが大切です。

トイレのシロアリ被害

トイレも床下や壁の中でシロアリ被害が発生しやすい場所です。トイレは隙間が少ないため、シロアリが生息していることがわかりにくく、気づいた時には、床がブヨブヨになるほどシロアリに喰われていたということも多くあります。

玄関のシロアリ被害

玄関は特に玄関框(かまち)でシロアリが発生しやすいです。

左、玄関かまちのシロアリ被害事例、右、玄関柱のシロアリ被害事例

玄関はドアなど雨に当たることが多く、他の場所に比べて外部の隙間がたくさんあります。雨風で水が染み込みやすく、床下土壌にいるシロアリが侵入し住処にしやすい場所です。

写真のシロアリ被害事例では、玄関かまちの内部がスカスカになるほどシロアリに喰われてしまっています。床下から玄関かまちを狙ってシロアリに侵入されたようです。

濡れた傘や濡れた靴などそのまま置いておくため、玄関は水の影響を受けやすい場所です。

和室・畳のシロアリ被害

和室もシロアリ被害が発生します。畳に水をこぼしたり、雨漏りや台風・洪水などの床下浸水など様々な影響で和室もシロアリ被害を受けます。床下が濡れ、水と湿度の環境が整うとあっという間にシロアリ被害に遭います。

畳シロアリ被害
畳のシロアリ被害

写真の事例は和室の畳の裏側にシロアリ被害が発生している事例です。床下が土で湿気が多く、和室にコタツを置いていたため、温度も下がりにくく暖かいためシロアリが発生したものと思われます。面倒でも年に1度は畳を裏返したりするとシロアリ対策にもなり畳も長持ちします。

洋室のシロアリ被害

家の基礎や外周のシロアリ被害

家の床下基礎はもちろん外周部でもシロアリ被害は発生します。水と湿度と木材があればどこにでもシロアリ被害が発生すると思っておいてください。

床下のシロアリ被害

シロアリの被害がないか調査するのに必ずチェックする箇所が家の床下です。シロアリは暗くてジメジメして風通しの悪い場所に繁殖するためです。床下のシロアリ被害は家の耐震性にも影響します。阪神淡路大震災では倒壊した多くの家がシロアリ被害に遭っていたと言われるほどです。

写真のいずれの事例もシロアリによる床下の侵食事例です。シロアリが木の内部に入り込んで木の中から侵食してしまっています。

縁側・ウッドデッキのシロアリ被害

ウッドデッキや縁側、濡れ縁と呼ばれる雨ざらしの縁側はシロアリの格好の場所です。

写真の事例では、下の土壌からシロアリの蟻道(ぎどう)と呼ばれるシロアリが自分で作るトンネルです。このトンネルを通って木部に達し木の中に入り込んで侵食していきます。

壁・外壁のシロアリ被害

壁の中までもシロアリ被害が及びます。

写真のシロアリ被害は、リフォームのために壁紙を剥がした事例です。柱もボロボロになっており、新しいものに変わっていますが、壁の広範囲に渡ってシロアリ被害が発生しています。

外壁で雨漏りがしていたことが原因でシロアリ被害に遭っていました。シロアリに侵食されているとは全く気づかなかったとのことでした。

屋根のシロアリ被害

屋根も常に雨に打たれる場所ですので、ちょっとした隙間でもコツコツを水分を吸収して屋根裏や柱を伝って床下部分がシロアリ被害が発生します。シロアリは通常、床下の土壌から入り込んでいき、上部にまでシロアリ被害が及ぶことは稀です。しかし、アメリカカンザイシロアリは屋根から直接侵入することができるシロアリです。アメリカカンザイシロアリの被害に遭うと家全体を侵食されます。屋根裏が侵食されると台風で屋根が飛んでしまうなど大きな被害にもつながります。

家の庭のシロアリ被害

庭にもシロアリは生息しています。普段は土の中にいて木の枝や枯れた植物を食べています。

庭に落ちた木の枝や倒れた木、枯れ木などにシロアリが発生します。庭に木が落ちていた場合はひっくり返すと写真のようにシロアリがいるかもしれませんのでご注意ください。

シロアリの被害の拡大と2次被害

シロアリそのもの被害だけでなく、シロアリが原因の二次被害も気をつけなければなりません。シロアリ駆除だけではない二次被害も知っておいてください。

家の倒壊や資産価値の減少

シロアリ被害をそのまま放置していても自然に解決することはありません。家が倒壊するほどシロアリに喰われることもあります。また、家の柱や屋根、壁など侵食されることで、雨漏りや腐食、カビやダニ・ゴキブリの害虫発生にも繋がります。

シロアリ被害による資産価値の減少も心配です。何年も働いたお金で購入した大切なマイホームです。シロアリ被害で、家の資産価値が大きく目減りすることもあります。シロアリ駆除の費用を惜しんだことで、資産価値が半分なった。このようなことがないよう気をつけたいものです。

ご近所トラブル

シロアリ駆除を駆除業者に依頼したのち、お隣さんからシロアリが来たと苦情が入るケースもあります。シロアリ駆除をしたことで、逃げたシロアリが自分のところにシロアリが来たと勘違いされるケースです。

まず、シロアリ駆除を行うことで、逃げたシロアリが隣の家にいくということはありません。またシロアリが発生するのは水や湿度と木材の条件が必要です。仮にその条件が整っていても、お隣さんが5年に一度の定期的なシロアリ防除をしていればシロアリが増えることはありません。

一番良いのは、シロアリ駆除をしている、もしくは駆除をしたとご近所さんにわからないようにすることかもしれません。

業者によっては、車や作業着に社名やシロアリ駆除業者とわかるようなネーミングで来ることがあります。こうした業者はご近所さんへの配慮を考え、控えると安心かもしれません。

賃貸や貸家のシロアリ駆除費用負担

賃貸のお家の場合、シロアリ駆除や予防は誰が費用を負担するのか、明確にしておくことが大切です。基本的には大家さんがシロアリ防除を行うのが通例です。

しかし、庭に木材を放置したままであったり、ゴミで埋もれていたり、部屋の換気をきちんとしていないなど、シロアリが発生しやすい原因を借主が作っていた場合には、借主側での費用負担を求められるケースもありますので注意が必要です。