日本には20種類ほどのシロアリがいると言われていますが、そのうち日本の家屋に被害を与えるシロアリは3種類です。日本古来のシロアリである、ヤマトシロアリ、イエシロアリに加えて、輸入木材と共に北アメリカからやってきたアメリカカンザイシロアリの3種類です。この3種類のシロアリについて解説します。
3種類のシロアリの特徴
日本には20種類のシロアリが生息していると言われています。ヤマトシロアリ、イエシロアリ、カンモンシロアリ、アマミシロアリ、オキナワシロアリ、ミヤタケシロアリ、ヤエヤマシロアリ、キアシシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、ニシインドカンザイシロアリ、カタンシロアリ、ナカジマシロアリ、サツマシロアリ、コウシュンシロアリなど。
日本全土で家に被害を及ぼす大半はヤマトシロアリです。シロアリ被害の9割近くを占めます。次に多いのがイエシロアリで、日本全土で広く分布していますが、特に千葉県から西日本の南部の温暖な海岸線に沿った地域で発生しています。アメリカカンザイシロアリは宮城県から沖縄までの24都府県で散発的に発生しています。
種類 | ヤマトシロアリ | イエシロアリ | アメリカカンザイシロアリ |
兵アリ | |||
羽アリ | |||
分布 | 日本全土 | 千葉県から西の温暖な海岸線地域 | 24都府県に散発的に点在 |
体長 | 5mm~7mm | 7mm~9mm | 6mm~8mm |
体の色 | 黒っぽい (背中と足が黄色で他は黒) | 茶色っぽい | 頭と背中が赤褐色で その他は黒 |
羽の色 | 淡い黒褐色の半透明 | 淡い黄色の半透明 | 褐色 |
飛び出す時期 | 4月~5月の昼間、 天気の良い気温が高い日 | 5月~7月の夕方か夜 気温が上がった日 夜に灯りに集まる | 6月~11月の昼間 気温の上がった日 グループで数日に分かれる |
兵アリ | 頭の形が長方形 | 頭の形が卵形 | 頭の形が四角い |
巣 | 巣は作らない シロアリ被害場所が巣となる | 本巣と分巣に分かれる 本巣は床下の地中や木の下、分巣は家や周辺木材の被害箇所 | 巣は作らない 木材に入り込む |
被害 | 床下などの家の下部で木材を食べ腐りながら被害が及ぶ、食べた跡が湿っていてブヨブヨしている | 家の中の乾燥した木材を水で湿らせながら食べる、食べた後が乾燥している | 家の乾燥した木材やピアノ、机などの家具類を食べる |
3種類のシロアリの見分け方
羽アリと兵アリで見分け、働きアリでは見分けが難しいです。
羽アリ
- 羽の色の違い
- 体の色の違い
- 群飛(ぐんぴ)と呼ばれる群れて飛び出す時期
兵アリ
- 頭の形
くびれがなく寸胴のアリを見たら基本、ヤマトシロアリと考えて良いですが、色が黄色や赤っぽかったりしたら、イエシロアリかアメリカカンザイシロアリの可能性がありますので注意しましょう。ヤマトシロアリは駆除がしやすいシロアリですが、イエシロアリやアメリカカンザイシロアリは家の中全体に被害が及んでいることも多く、専門の駆除業者でも完全駆除ができる業者とできない業者があるほどです。
シロアリの生態
シロアリがそもそもどのような昆虫で、どんな生活をしているのか?シロアリの生態を理解して駆除や対策に役立ててください。
シロアリは木材の何を食べるのか?
シロアリは木造住宅に被害を及ぼしますがなぜ木材をたべるのでしょうか?それは、木材に含まれている「セルロース」と呼ばれる繊維を食べて、それを栄養にしているためです。セルロースは、植物の細胞壁の物質です。このセルロースは非常に消化しにくい物質で、セルロースを分解できる生物は、バクテリアや微生物、菌類や一部の昆虫です。この分解機能を持つことで、森の中の木や枝がシロアリなどに食され、やがて土に還るというわけです。
山を切り開き、森や林を伐採して、宅地にしていく中で、シロアリにしてみれば自然の木が少なくなった中で、家の木材を食べ、それを分解していくということで、シロアリに取ってみれば自分の仕事を忠実にこなしているのでしょう。
シロアリの生息していない場所はほとんどなく、地中の中で生息し、床下から蟻道を作って家の中の木材を食べに侵入してきます。
羽アリ?女王アリ?シロアリの違い
シロアリは必ず羽があると勘違いしている人も多いのではないでしょうか?シロアリは階級社会を作っています。羽のあるシロアリは将来、女王アリや王アリになる可能性の階級のアリで、羽のないシロアリには、職蟻や兵蟻という階級のシロアリです。
ですので、羽があるなしでシロアリかどうかの判別はできません。